指示とモチベーション
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会社では、指示を出したり指示を受けたりして、仕事が進む。
特に新人に対しては細かく指示を出さなければならないが、
仕事(というより作業)に慣れてくると、一連の手順を示さなくても、
どういった結果が欲しいかを伝えるだけで仕事が進むようになる。
これを成長という。
さらに成長すると、仕事のチェックができるようになり、
お客様ともやり取りできるようになり、
直接お客様から仕事を依頼され仕事をこなせるようになる。
やがて商品企画や市場開拓といった創造的な仕事もこなすようになり、
メンバの仕事の管理も担って、原価や経費に責任も負い管理職となり、
そうしてゆくゆくは会社役員となっていくのである。
このような成長に伴い、指示は徐々に緩く少なくなっていく。指示が
緩く少なくなるということは、自由度が高くなるということである。
自由度が高いということは、進行方向に障害物が少ないことを意味する。
障害物が少なければ、それだけ速度vを上げることができる。もし
進行方向に障害物が多々あれば、それら障害物を避けるため方針転換
しなければならなくなる。それはつまり、労力Fをかけ、心mに変化aを
生じさせることを意味する。それでも障害物と衝突してしまった際は、
速度vの2乗に比例するエネルギーWを反動として受けることになる。
例えば、職場にて、順調に仕事が進んでいたところ、責任者の都合で
急に方針転換しなければならなくなる場合がこれに当たる。このような
急な方針転換はいつ起こるか分からない。上司の気まぐれかもしれない。
となれば、その度に方針転換に応じなければならない担当者としては、
仕事の速度は上げられず、モチベーションも低い状態のままとなるのだ。
よって、もし、部下のモチベーションを高め、かつ、高い状態を維持し、
自ら考え自ら動くようにしたいのであれば、指示はこまめに出すより、
大きく出した方がいいと言える。一人一人の自由度はできる限り高め、
上司はコントロールを解放していった方がいいのだ。
そのためには、事前に、
・目標や目的は何か
・評価基準は何か
・いつ誰が誰に何を報告するか
・利用可能な資源は何か
などなど、いろいろと明確化しておかなければならない。
しかし、この明確化は非常に面倒であり、大抵の会社では、
その都度その都度、上司が部下に指示を出すことで手間を省こうとする。
だからこそ仕事が上司のペースとなり、
部下一人一人が仕事にやる気を出さなくなるのである。
なぜなら、上司からの方針転換の指示の度に己の慣性を変えることは、
反作用の大きな無駄な労力でしかないからである。
そのような環境の下では、言われてから動く方が効率が良くなるのだ。
ということで、自ら考え自ら動く組織を作るためには、
手段よりも目標や目的に焦点を当てて、
そのための環境を構築していかなければならないのである。
・・・。
ということは案外みんな知っていることであるが、
あえてそうはしない。なぜならただ単にメンドウダカラ。