人はより質量の大きな人を中心に動く
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宇宙では、質量の大きな天体の周りを質量の小さな天体が回っている
という関係が、あちらこちらで観測できる。身近なところで、
地球よりも質量の小さな月は地球の周りを回っており、
その地球はより質量の大きな太陽の周りを回っている。
これは人間関係でも同様である。例えば会社であるが、
人は、自分よりも質量の大きな人の指示で動く。
それは通常、上司である。そしてその上司もまた、上司の指示で動く。
そうして行き着くところは社長になる。
社長はいわば太陽のような存在である。
地球も火星も太陽を中心に回っている。
太陽は如何なるものからも干渉されていないように見える。
しかしその太陽ですら、自分よりも大きなものの周りを回っているのだ。
太陽は銀河の中心にあるとされる巨大な天体
(質量からしておそらくブラックホール)
の周りを回っているのである。太陽ですら回っているのだ。
上には上がいるということである。
社長も政府の動向を意識しつつ経営しているところを見ると、
社会や国家という大きな存在を中心に回っているといえる。
人は、自分よりも質量の大きなものを中心に動くのだ。
そうして私たちは誰かと繋がり、誰かの影響で動いている。
これは宇宙でも同様で、どの天体も何らかの天体の影響を受けている。
このような質量ある物体同士に働く力を「万有引力」と言う。
私たちが、文句を言いながらも会社と繋がりながら生きていくのは、
万有引力のような力が働いており、引き合わざるを得ないからである。
心に質量がある者同士はお互いに無条件に引き合おうとするのだ。
というよりも、心の質量の小さな人が心の質量の大きな人に
ほぼ一方的に引き寄せられてしまっているのだ。
引き寄せられている側の人は、引き寄せられないように努力しているが、
引力を振り切って独立して生計を立てることは難しいのが現実である。
引力を振り切れば無重力状態となり、自分を縛る面倒な人間関係からも
解放され、自由に生きていけるように見える。無重力状態では上も下も
ないため上下関係は存在しない。ただし、質量の大小による強弱関係には
容赦なく晒されることになるため、質量が大きいことが重要になる。
そもそも質量mとは、動かしにくさである。ゆえに、
質量の大きい人は、他人から何を言われても動じないが、
質量が小さい人は、ちょっとしたことで心が乱され反発してくる。
例えば、同じ力Fで人から批判されたとき、
質量100の人と質量10の人とでは、加速度F/mに10倍の差があるのだ。
同様に、質量が大きいと人を動かす力も大きくなる。
人間社会では、小さい人の大きな発言では誰も動こうとしないが、
小さくとも大きな人の発言であれば、率先して動いてしまう。
大きな人は力が強いため、少しの発言で多くの人が動くが、
小さな人は力が弱いため、捨て身で言わないと誰にも響かないのだ。
そうして、我々は常に誰かの影響を受け、もしくは影響を与え、
自分より小さい人が自分の周りを回り、
自分は自分より大きい人の周りを回りながら生きているのだ。