電気の流れ、やる気の流れ



  • 電気の分野に「オームの法則」というものがある。
    「電流Iは電圧Vに比例し、抵抗Rに反比例する」という、
    電気において最も有名な法則の一つである。

    何かと何かが比例関係にあり、その際、
    何らかの比例定数が影響している、
    というのは物理の公式ではよくある形式である。

    そしてこのオームの法則は、人の心にも当てはまる。
    機械は電気で動いているが、人間はやる気で動いており、
    やる気を電気と見立てると、以下のように関連付けられる。

      電流I → やる気M
      電圧V → リターンR
      抵抗R → コストC

    つまり「やる気MはリターンRに比例し、コストCに反比例する」となる。

    ここで、リターンとは、金や不動産のような具体的なもののみならず、
    知識や成長のような無形のものも含まれる。ゆえに、
    リターンは理解力に比例し、知識量に反比例する傾向があると言える。
    理解力が高ければ、(新しいことを)知る機会が増え、逆に、
    知識量が多ければ、(新しいことを)知る機会が少なくなるためである。

    つまり、無知で理解力の高い人はやる気が上がりやすいが、逆に、
    理解力がない、または知り尽くしている人は、やる気が出ないのだ。
    若者はやる気があって老人は無気力というのはこのためでもある。
    老人は汚い世界を知っているが、若者は人生に対しても無知なのだ。

    だからこそ、会社でも若者は認められようとやたら努力するし、
    夢があればそれに向かって健康を害する勢いで努力する。
    やる気があれば、コストやリスクは無視できるのだろう。

    そうして割に低い給料でいいように使われ続け疲弊し、
    最終的には退職して逃げた人みたいになることもしばしば。
    後から会社を恨むくらいなら、初めから会社に夢を見ないことである。

    因みに、リターン/コストは「効率」を意味するが、効率に対して
    「効果」という概念もある。効果はリターン-コストである。
    そして効率と効果はトレードオフの傾向がある。
    効率的だと効果的ではなく、効果的だと効率的ではないことが多い。
    したがって、やる気は効率に比例し、効果に反比例しがちである。

    例えば、大きなことを成そうとすれば日々の積み重ねが大切であるが、
    それは非効率なことが多く、ゆえにやる気が上がらない。よって、
    やる気に任せていれば、目先の小さなことばかり率先して
    手を出してしまう。そうして大きなことをどんどん後回しにした結果、
    大きいことを成すチャンスを人生から完全に失ってしまうのである。