運動の3法則を心に適用する
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地球上の物理現象を説明する(古典)力学で、心の状態の変化を説明する。
古典力学というと、ニュートンの運動の3法則が代表的である。それは、
物体に力が加わったとき、運動の様子がどう変わるかを説明できる。
運動の3法則は以下の通りである。
1.運動の第1法則(慣性の法則)
力の作用していない物体、あるいは、
いくつかの力が作用しているが
その合力が0の物体の運動状態は変化しない。
すなわち、静止している物体は静止し続け、
運動している物体は等速直線運動を続ける。
2.運動の第2法則(運動の法則)
物体の加速度は、
物体に作用する力に比例し、物体の質量に反比例する。
3.運動の第3法則(作用・反作用の法則)
物体Aが物体Bに力を及ぼしているときには、
物体Bも物体Aに力を及ぼしており、
これらの力の作用線は同一直線上にあって
向きが反対で大きさは等しい。
たったこれだけの法則で、小さな物体の運動から
大きな天体の運動に至るまで、統一的に説明できるようになる。
それこそ「どうして木からリンゴは落ちるのか?」という疑問や、
逆に「どうして月は地球に落ちないのか?」という疑問に答えられる。
上記の運動の第2法則は運動方程式についての説明である。
運動方程式は以下のような時間の二階微分方程式である。
F = m × a
ここでFは力、mは質量、aは加速度(時間の二階微分)である。
Fとaは三次元ベクトルであり、方向がある。
運動の第2法則で言っていることは、Fに比例してaが大きくなることと、
Fとaの間には動かしにくさを意味する比例定数mがあるということ、
そしてFの方向とaの方向は一致するということである。
これらの考え方を心の世界にそのまま適用する。
実は心の変化については、同様な考え方が、
ニュートンの運動の3法則よりもはるか以前に確立されている。
それが仏教の三業であり、そして自業自得という考え方である。
三業も自業自得も、どちらも業という文字を含んでいる。
この業が力Fに相当する。業はカルマとも言う。
多くの人がカルマと言っている概念は、実は力のことを指す。
ただ、慣性の方をカルマと言うこともあり、意味は文脈によって異なる。
ここでは、力Fがカルマになる。
【補足】
運動の3法則は17世紀にニュートンによって発見された。発見した、
というよりも、それら概念を組み合わせて体系化し、かつ数式を導入し、
自然現象を統一的に説明・計算できるようにした点が貢献として大きい。
運動の法則は、ニュートンの力学に関するプリンキピアと呼ばれている
書籍「自然哲学の数学的原理」に記されている。
この原理をそのまま心に応用し、心の原理として数学的に心を解釈する。
そうすることで、往々にしてあいまいに語られてきた心を単純明快に説明
する。原則は、この原理を踏まえて導いたものである。3法則に対して
3原則である。原則では人間関係の観点で現象を解釈するが、原理では、
心の内側に着目し、古典力学と東洋思想で現象を説明しようとしている。
以上、お役に立てれば幸いである。