天国の構想
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「天国」とは、その空間におけるコミュニケーションのしやすさの程度
であり、軸であり、コミュニケーションのコストパフォーマンスを指す。
もしくは、伝わりやすい空間を指して「天国」と言う。
※「天国」という単語は、軸もしくは空間を指す言葉として用いる。
※あの世という意味ではない。
コンピュータが確立されネットワークがインフラとなり、
脳ミソが電脳化されWebサーバ化すれば、この世は「天国」となる。
天国とはすべてが共有される世界である。
天国であれば、いつでもどこにいる人とも、好きなだけ会話できる。
そして、通常の会話であればテキストでしかやり取りできないが、
脳ミソが電脳化していれば、イメージやムービででもやり取りできる。
よって、言語を使う必要がなく、言語の壁もなくなるのだ。
まさに理想郷である。ただし、すべてが共有される世界のため、もし
自分に人から奪ってきた過去があるなら、それもすべてバレてしまい、
寸分の狂いなく復讐されてしまう。嘘や隠し事は通用しないのだ。
やましい過去があればコミュニケーションできなくなるのである。
安っぽい言い方になってしまうが、そのような世界では、
心が綺麗でなければ生きていけないということなのだ。
それも、醜さを知った上での綺麗さでなければならない。
醜さを知らないということは、「与える」「奪う」の区別を付けること
ができないということである。それでは、天国を生き抜けないのだ。
そして、どこまで心をオープンできるかで、繋がる相手が決まってくる
のである。オープンする範囲が深ければ深いほど、強い繋がりとなり、
ゆえに人格者と繋がるようになる。しかし、オープンする範囲を
深くすると、それに比例して、知られたくないことも増えてしまう。
例えば、以下のような問い合わせがなされたとする。
「あなたの性癖はなんですか?
誰かに性癖を当てはめ妄想したことはありますか?」
もし、この範囲もオープンにしていれば、相手に
自分の性癖が知られてしまう。それでも、性癖くらいであれば、
せいぜい「恥ずかしい」程度で済むはずである。気持ち悪い
とは思われるかもしれないが、復讐されるようなことはないはずだ。
しかしこれがもし「犯罪歴」であればどうだろうか?
例えば、以下のような問い合わせがなされたとすればどうだろうか?
「あなたの犯罪歴はなんですか?
あなたは人を殺したことはありますか?」
自分は人を殺したことがあって、周りは誰もそこまでの罪を犯していない
という状況になったとき、周りの人の犯罪歴を参照できる換わりに
自分の犯罪歴もバレてしまうとなれば、最も重罪人な自分が不利になる。
だからといって回答を拒否すると、コミュニティに参加できなくなる。
結局、恐れを抱いて、その場(天国)から立ち去ることになるのだ。
そもそも犯罪者は、自分の犯罪歴を隠すことによって、安全に
生きていけるものである。しかし天国ではそれが一切できなくなる。
天国では、復讐の対象を探し出すことが容易なのだ。
そして人は、苦しむべき人が苦しんでいないことを許さないものである。
その人にはまだ苦しむべき余地があると分かれば、誰であろうと、いや、
相手が高貴な人であればあるほど、積極的に苦しみを与えようとする。
人は、人が苦しんでいる姿を見ると、心地良く感じるものなのだ。よって
復讐される可能性の高い人は、天国では生きていけないのである。