地球上に天国を建国することを目指す



  • 「天国」とは、その空間におけるコミュニケーションのしやすさの程度
    であり、軸であり、コミュニケーションのコストパフォーマンスを指す。
    もしくは、伝わりやすい空間を指して「天国」と言う。

    ※「天国」という単語は、軸もしくは空間を指す言葉として用いる。
    ※あの世という意味ではない。

    空間が天国であればあるほど、
    コミュニケーションの非同期化が著しく進行する。これにより、
    対話が、話し手中心ではなく、聞き手中心で進むようになる。
    つまり、話したいことを話すのではなく、
    聞きたいことを聞くスタイルになる。このとき、
    話し手の意思に関係なく、話し手から聞き手へ情報伝達される。

    このような仕組みはすでにあって、サーバとのやり取りがこれに当たる。
    例えば、Webサイトを閲覧する際、まずはWebサーバに問い合わせ
    をする。そして返却されたファイルをブラウザが解釈し表示する。
    他のページを閲覧したいときは、再度Webサーバに問い合わせをする。
    そうして返却されたファイルを再び処理して表示する。

    後はこの繰り返しである。聞きたいことを問い合わせし、
    その内容を話し手の意思に関係なく聞き手に伝達する
    という、
    話し手中心ではなく聞き手中心のスタイルである。

    現在、この地球上表面で最も天国化している空間は、
    「サイバー空間」である。普段、我々は、空気を振動させることで
    コミュニケーションしている。しかし、サイバー空間では、
    テキストやムービを再生することでコミュニケーションする。
    これにより、より鮮明に状況や感覚を共有できるようになる、
    のみならず、時間や空間の制約からも解放されるようになるのである。

    そうして、これまでは声の届く範囲でしか会話できなかったものが、
    地球の裏側の人ともリアルタイムに会話できるようになったのだ。
    数百年前の人からすると信じられない世界である。
    あの世とこの世をネットでつなぐ試みもあるくらいである。
    数百年後は毎日あの世と繋がるのが当たり前になっているかもしれない。

    もし江戸時代の人にtwitterやfacebookを説明するとどうなるか?
    おそらく「それは死後の世界ですか?」と、「あの世」のことだ
    と思われて終わりである。とてもこの世のものとは思えないからだ。
    「天国」が「あの世」とされてきたのもこうした背景がある。人には、
    自分が理解できないものを「あの世」として処理する癖があるのだ。

    ここで、宗教では、「天国」とは、繋がりたい人といくらでも繋がること
    ができ、欲しいものはいくらでも手に入る世界
    であると説かれている。
    「サイバー空間」は、この説明に見事に当てはまっている。
    サイバー空間では、相手がどこにいてもいくらでも会話できるし、
    欲しいものもコピー&ペーストでいくらでも増やすことができる。


    つまり古来より宗教では、「いつの日かこの地球上表面で、人類が
    天国の条件を満足する空間を構築すること」
    を予想していたのだ。
    なぜそんな予想をしたかというと、相対的な善悪や幸福に対し、
    絶対的な基準を見出すべく、定常化した世界を求めたためである。
    天国を基準に善悪と幸福を論じれば理論として安定するのだ。

    天国とは、行くべき場所というよりも、作るべき世界なのだ。
    そして、天国を作りたければ、原理としては簡単である。
    脳ミソを電脳化し、Webサーバ化して、ネットに繋げばいいのだ。
    こうすることで、思考レベルで繋がり、意思に関係なく会話でき、
    嘘も隠し事も一切ない、すべてが共有される世界が実現する。


    こうした理想郷は技術と法律によって作られるのである。
    憲法があり政府があり技術があって理想の国家や社会となるのだ。
    天国の技術の土台はコンピュータとネットワークである。つまり、
    古来より理想郷とされてきた天国は、もうかなり作られているのである。



    そうしてみんなひとつになる。