生きる意味



  • 生きる意味は幸せになることである。幸せとは感覚であり、
    善い方へ感覚が変化することで感じる感覚である。善い方への変化とは
    成長することであり、ゆえに生きる意味は成長することである。

    だからみんな成長しようとするのだ。
    努力して努力して努力して成長しようとするのだ。

    成長には苦しみが伴われる。
    その苦しみを乗り越えてこそ見える景色がある。
    そう信じて成長しようとするのである。

    努力して努力して努力して成長しようとするのだ。
    さらに努力して努力して努力して成長しようとするのだ。
    より高みを目指して、努力して努力して成長しようとするのだ。そして、

    いつの日か、死んでいくのである。

    「なぜ生きる?」の問いは、つまり、
    「いつか死ぬのに、どうして苦しい思いをしてまで生きる?
     なぜそう努力できる?」
    という深い問いである。

    死んで無になるなら、努力そのものが無駄に思えてくる。
    一生懸命に働くことで国は豊かになっていくかもしれない。
    しかし一個人からすると、そんなことはどうでもいい。
    どうせ死ぬのであれば、だらだらと生きた方が得なのではないか?
    いや、いっそのこと大金を奪って、外国に逃げた方がいいのでは?

    未来が無いと仮定すれば、今を楽しむことに全力を出すようになる。
    例え悪事に手を染めたとしても、逃げ切ればいいだけの話なのだ。
    人生の中だけで健全に生きる意味を見出すことは難しい。そこで
    「死後の世界」を概念として導入し、時間を無限に拡張して考える。

    すると、生きる意味(存在する意味)は、永遠の幸福の追求となる。
    人生の中で幸福を追求する場合は、有限の幸福の追求である。
    有限の幸福は悪事に手を染めることで簡単に手に入るが、
    永遠の幸福となると、常にを心掛けなければならなくなる。
    なぜなら、
    「与えて与えられる」「奪って奪われる」が完璧に成立するためだ。

    有限にしろ永遠にしろ、生きる意味は幸福の追求である。しかし、
    その追求の仕方は、正反対のアプローチとなるのだ。つまり、
    短期の幸福であれば悪が、長期の幸福であれば善が有利なのである。
    つまり、目指す幸福の期間によって善悪が分かれるのだ。

    ここで、もし死後の世界がないとすれば、そもそも生きる意味を
    考える意味もなくなる。「たまたま生まれ、そして死んでいくだけ」
    の人生に、いちいち意味を見出す方が無駄である。つまり、
    死後の世界があるかないかは別として、生きる意味を強く求める以上、
    死後の世界は「ある」と想定した上で話を進めなければならないのだ。

    となると、死後の世界がどういった世界か探らなければならない。
    「東洋思想」や「古典力学」を参考に死後の世界を考察すると、
    この世で成立する法則は、おそらくあの世でも成立する、と予想できる。
    こうしてさらに考えを発展させると一つの回答に行き着く。それは、

    「あの世もこの世もあまり変わらない」ということである。

    「この世では地味な人生だけど、死んだら自分も高級霊になれるかな~」
    と期待している人からすると、まったく面白くないことであるが、
    おそらく、あの世もこの世も同じである。例えば、「与えて与えられる」
    「奪って奪われる」の原則は、あの世でもこの世でも同様に成立する。

    ということは、生きる意味を考えるにあたって、わざわざあの世と
    この世を分けて考える必要はなく、あの世はこの世の延長として
    考えればいいということである。ここでは、生きる意味は幸福の追求で
    それは成長だと示したが、これ以外にも答えはあるかもしれない。

    死後の世界はないという人も、死後の世界に期待する人も、
    いつか死ぬと分かった上で、迷いながら生きているのだ。
    不幸にならないよう、無理なく限りなく幸せになれるよう。

    ・・・。



    人生の期待値というものを導出してみた。
      B:得る予定のもの
      C:失う予定のもの
      α:失っても構わないと思う度合い(0~1)
      β:後が幸せであってほしいと思う度合い(0~1)
    とすると、人生の期待値は、
      死んだら無になる場合の期待値 + 死後の世界がある場合の期待値
    となり、それぞれの確率を0.5とすると、
      0.5×(B-C)×(α-1) + 0.5×(B-C)×(β+1)
    と見ることもできる。これを式変形すると、
      0.5×(B-C)×(α+β)
    となり、刹那的に生きた場合の期待値は0となり、逆に、
    将来を見据えて生きた場合の期待値は、人生の結果そのものとなる。
    前向きに努力した方がいいと言えそうである。