感覚と幸福



  • 感覚にはいくつか種類がある。
    例えば、善悪や喜怒哀楽、恨み憎しみ、哀れみ慈しみなどである。
    そして、感覚は常に変化している。

    ということで、感覚の推移を考える。
    良い状態から悪い状態へ推移すると、心の状態はどうなるだろうか?
    逆に悪い状態から良い状態へ推移した場合はどうなるだろうか?

    前者は不幸となり、後者は幸福となる。
    良い状態から悪い状態だと、状態が悪化しているため不幸に感じる。
    逆に悪い状態から良い状態だと、状態の改善に比例して幸福に感じる。

    これは、温度のようなものである。
    0度の冷水を触った後に、30度のお湯に触ると熱く感じる。
    逆に、60度の熱水に触った後に、30度のお湯に触ると冷たく感じる。
    同じ30度のお湯でも、事前に何を触ったかで、感じ方は異なるのだ。

    幸福についても同様である。
    その人がこれまでどういった経験をしてきたかによって、
    その人の幸福か不幸かの感じ方は異なるのだ。例えば、
    苦労を積み重ねてきた人は、成功したときの喜びも大きくなる。

    つまり、経験する順番によって、幸福か不幸かが決まると言える。
    幸福のためには、何を経験するかではなく、どの順番で経験するか
    が大切なのだ。早いうちに、辛い想いはしておいた方がいいのだ。

    ここで、数学の概念を用いて説明すると、幸福とは、
    「心の状態を時間で微分して得られる微分係数」とも表現できる。
    ということは、不幸にさえならなければ幸福は最大化されることになる。
    これは単純な話で、良い状態から悪い状態に推移さえしなければ
    幸福が減ることはなく、それどころか幸福が累積するためである。

    ゆえに、幸福であり続けるためには、成長し続けなければならない。
    というのも、人には慣れるという性質があり(慣性として後で紹介)、
    同じ刺激では何も感じなくなるため
    である。ゆえに成長が必要なのだ。
    つまり、永遠の幸福とは永遠の成長を意味するのである。

    ただ、現実的な話をすると、人は年を取る。年を取ると、
    今まで当たり前にできていたこともできなくなる。それでも幸福を望む
    なら、年に関係なく成長できることを見つけなければならない。

    一つ前の項目で、存在は感覚だと述べた。
    そしてここでは感覚が幸福で、幸福は成長だと述べている。
    つまり、存在している以上、幸福のために成長すると言える。
    心は絶えず成長を求めているのである。

    今、自分は、何らかの環境に身を置いているはずである。
    この環境は感覚であり、ゆえに、自分に対する存在である。
    つまり、自分が置かれている環境は、
    自分の成長のためにあると解釈できる(引き寄せの法則)。